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ここがポイント!

  • 世界的な株価急落で、リスク回避の動きが広がり円高が進行。
  • 15年ぶりの円高水準、直接の原因は日米の中央銀行の決定内容の違い。
  • 介入が難しい状況で、まだ円高は終わらない。反転もゆっくりとした ものにとどまる見込み。

ドル/円下落、昨年安値を割り込んで15年ぶりの水準に!

昨日(8月11日)世界的に株価が大幅に下落する中、リスク回避の動きが急速に広まった結果、円高、ドル高となってクロス円が急落しました。
ドル/円もクロス円の下落につれ安となって、昨年11月につけた安値を割り込み、約15年ぶりの水準となる84.72円の安値をつけました。

円高の要因は?

ドル全体の強弱を測るドルインデックスを見ると、2008年3月の大底と比べて20%近くドル高の水準です。
にも拘らず、昨日ドル円が15年ぶりの水準まで下落した直接の理由は、今週火曜日の日米の中央銀行の決定の違いです。

 

日銀金融政策決定会合では、日銀は政策を据え置き、白川総裁の会見でもこれまでの回復シナリオを維持しています。
一方米FOMCでは、最近の経済指標の下振れで、景気腰折れとデフレの懸念が高まったとして、すでに始まっていた金融危機以降の異例な政策からの出口戦略を一旦ストップし、MBS(住宅ローン担保証券)の償還金を使って国債の買い入れを増額するという措置をとりました。
しかも今後の状況によっては、更なる緩和措置とる可能性もあり得ます。

 

この結果、アメリカの景気回復見通しが後退するとともに、日米間の金利差が縮小することとなって、円高が進んでいます。

今後反発するのか!?

介入が効果を上げるためには、後述する1995年の時のように、国際的なコンセンサスに基づいて、金融政策(安くしたい通貨の金利を相対的に下げ、高くしたい通貨の金利を相対的に上げる)を伴うことが必要です。

 

ところがこのところのG20などでは、為替操作に対する国際的な非難が集まっており、かつてのような協調介入というのは事実上考えられません。
金融政策の面でも、現在の動きは、円高、ドル安を支持するものになっています。

 

ただ、アメリカの金利水準も絶対的に非常に低くなっています。すでに米10年債利回りは2.7%と、リーマンショック後を除けば最も低い水準になっています。
したがって、今後も米金利の下げが長続きして、さらに大幅に円高が進行するということは考えにくい状況です。
とは言え、同様に日本も金利の下げ余地はほとんどないため、金融政策と介入のセットで、急速にドル/円が反転する、というシナリオは想定できません。

 

今後のドル/円相場は、米金利の底打ちが見えてくるまでは、じりじりと円高が進み、その後米金利の安定化が確認できれば、ゆっくりと反転する、というのが現実的なシナリオと考えています。

 

底値の一つの目安としては、月足ボリンジャーバンド-2σのある、82円台前半近辺と考えます。

15年前、戦後最安値79.75円をつけた1995年はどうだったのか?

15年前の1995年、ドル/円の戦後最安値となる79.75円をつけました。

 

94年末に発生したメキシコ通貨危機の深刻化と、それが米州経済に及ぼす悪影響に対する懸念が高まってドルが売られたことに加え、欧州通貨の混乱から独マルク買いがドル売りを誘発したことなどから、ドルは主要通貨に対して全面安の展開となりました。

 

年初に101円台まで上昇したドル/円も、日本の巨額貿易黒字問題で、米クリントン政権が強硬姿勢を見せる中、急速に下落。
3月3日には日米欧の協調ドル買い介入が行なわれたものの、大量のドル買いポジションの損切りで下落する相場の流れを変えることはできませんでした。
その後3月7日に90円割れとなったドル/円は、下落の勢いを増し、4月17日に戦後の最安値79.75円をつけました。
この間、3月にドル/独マルクも史上最安値をつけるなど、ドルは独歩安となっていました。

 

 

急速なドル安円高に、日銀は4月14日に公定歩合の引き下げ(1.75→1.0%)を行いました。
同時に政府も緊急円高・経済対策など一連の政策が発表しました。

 

また国際的にも、4月のG7でドルの急速な下落が懸念され「ドルの秩序ある反転」が望ましいとの合意がなされ、5月31日には再び日米欧によるドル買い協調介入が実施されています。
6月には日米間の最大の懸念だった日米自動車・同部品協議も合意に達し、クリントン政権の姿勢も軟化、次第にドルが反転しはじめました。

 

その後も、日米欧の協調介入は継続して実施されました。一方日欧の追加金融緩和も実施されるなど、各国協調でドル反転の努力が続きました。
特に日本は、継続して大量のドル買い介入を続けることで、ドル/円は8月には80円、9月には100円を回復することとなりました。